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物語が、動き出す。

「がんばったんだよ、わたし。一生分、がんばった・・・」

ラスト近く、雪原にたたずむ美雪が悠輔の頬に手を差し伸べるシーンで、思わず涙がこぼれた。映画を観て泣いたのは何年振りか。 ~ 中条あやみ、登坂広臣 主演、映画「雪の華」。

子どもの頃から極端に病弱だったため、自分の意思で人生をコントロールすることを諦めてしまった女性・美雪が、ある日医師から余命一年の宣告される。その病院の帰り、更に運の悪い事にひったくりに合うが、何もかも諦めてしまった彼女はその状況すら半ば投げやりに受け入れようとする。が、たまたまそこにいた男・悠輔がひったくりをつかまえ、カバンを取り返してくれた。そして彼が言う。 ~ 「助けて!とか、なんか、口に出さないと分からないだろ。」そして彼女は大きな声で叫ぶ 「助けて!!」 ~ 閉塞感に苛まれる彼女の人生の物語が、新たに動き出す瞬間だ。

生きている間に、フィンランドでオーロラを、できればそれを見た者が幸福になると言われている「赤いオーロラ」を見るべく、最後の力をふりしぼり旅立つ。だが、なかなか見ることが出来ず雪原にたたずむ美雪。諦めかけた時に、そこに悠輔が現れる。彼に出会うことで、自分の意思で日々夢に向かって生きる大切さに目覚め、フィンランドまでやって来たが夢は叶えられそうにない。

「がんばったんだよ、わたし。一生分、がんばった・・・」

彼が「やりなおしだ。おれたちが生きている限りずっと。」そう言ったときに空にオーロラが現れる。まるで、これからも夢に向かい続ける二人を祝福するかのような、雄大で力強く、でも優しく美しい「赤いオーロラ」。

けなげな男女への、祝福の物語 - 王道の恋愛映画。

正直いろいろ突っ込みどころもあるストーリーなのだが、こうあらねばならない、あってほしいという気持ちに答えてくれる物語の展開には、やはり素直に胸を打たれる。そして、もう一つ、フィンランドの自然のパノラマと葉加瀬太郎のバイオリンのマッチングが素晴らしい。上映終了まで日数も限られていると思うが、もし観るなら最前列のドまんまかの席で観られることをおススメします。

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