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今年最初の一冊は。

乃木坂メンバー・高山一実が書いたということで、話題の小説である。

彼女、テレビでのトークを見ていても、頭の回転が速く、センスのいい気の利いたレスポンスが心地いい。さぞかし気持ちのいい文体の小説なのだろうなと、正月休みに読むべく本屋に行くが、まさかの売り切れ。年明けの14日に書店に並んだところでやっと購入、読むことが出来た。(なお、昨年11月末に発売され、今年1月21日時点で三度目の重版・8.4万部とのこと。彼女の写真集より売れてる!-ごめん-)

文体、言葉の選び方、シニカルなユーモア、ちょっと意地悪な人物の批評と描写、固有名詞を多用する(カメラといわず"ライカ"とか、うたた寝と言わず”レム睡眠”とか。)わかってる感あふれる世界作り、なかなかだった。改めて、彼女のセンスに感心した次第。

でも意外だったのは、この本が「自己プロデュースのプロセス」を描いた本だったこと。

わたしが持ってる高山さんの印象は、まっすぐで義理堅く、お友達を大事にしそうな「剣道が得意な、男前の千葉の女の子」のイメージだったから。~ 自己プロデュースというのは自分の優先順位を周囲より高く置くことで、それは時として廻りを巻き込み、また、顧みない、そんな「はた迷惑な」行動を誘発する。~ それはある種わたしが彼女に持っていたイメージの対極の世界だ。 

小さいときにアイドルを見て「人間って、光るんだ」って思い、それ以来ずっと自分も光る方法を探し続け、その世界を志す。同じ市内の東西南北の高校に通うスター性のある娘を見つけてアプローチ。グループ結成後は「デビュー後に過去を暴かれた時のために」ボランティアにいそしみ、友達の男の子を記録係に便利使いする。そして事務所と契約、デビューがかなったらボランティアをあっさり辞め、次のステップに向かう ~ しかし、そんな世界に付いていけない他のメンバー、夢はあっさりと潰えたかに見えて・・・最後は少し駆け足で終わったのが個人的には物足りなかったが、彼女が描きたかったのはこの自己プロデュースのプロセスで、おそらく結末はあまり重要ではなかったのかな、と、思った。

月日は流れて、ラスト。アイドルとして成功した彼女に昔便利使いされていた男の子が言う。「初めて見た時から、光っていました。」 ~ なるほど! この本、意外と深いかもしれない。次回作、期待してます!

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