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神戸らんぷミュージアム 特別開館

神戸・三ノ宮に関西電力が開設していた神戸らんぷミュージアムが特別開館。実はこの施設、私も制作のアイディアを出したりお手伝いさせてもらったりして、1999年のゴールデンウィークにオープンしたものだ。残念ながら、原発事故による影響による電力業界の経営効率化の一環により、ずっと休館中である。その神戸らんぷミュージアムが、期間限定で特別オープンした。

このブログではあまり自分の仕事のことを書かないようにしてきたのだが、あんまりうれしいので、今回はこの施設の紹介をさせてもらうことにする。

阪神淡路大震災の時に被災・閉館した、北野にあった「北野らんぷ博物館」の個人コレクションを関西電力が譲り開ける形で継承、4年以上の歳月をかけて準備されオープンした施設。まさに「明かりの灯を消すな。」といったところ。 ~ 震災後、電気を絶たれた夜の街は真っ暗になる。その街を眺め、このまま終わってしまうのか、という絶望的な気持ちを力づけるものの一つが、「光」だ。~たとえば、神戸ルミナリエ。復興がままならない真っ暗な神戸の街にルミナリエの明かりが点ったとき、人々は涙を流した。

あかりの光はつつがなく幸せな生活の象徴であり、文明・文化の象徴。 ~ 被災した灯家具コレクションを灰燼に帰すことなく次代に継承する。ズタズタになった街にも、希望のあかりをともし続けられるように。 ~ 見応えのあるコレクションの開陳は、地元への良質な観光資源の提供という意義もあった。

収集・体系化され、専門家の知的欲求を満たすだけの学術的バックボーンを備えた灯家具のコレクションの展示ゾーンに加え、館内を貫く形で夕暮れの旧居留地をイメージした町並み再現がなされており、音楽と照明で演出されている。専門的な知識が無くとも直感的に「あかりって、ええモンやな~」と感じさせる工夫だ。わたしはこの部分の企画をちょっとお手伝いした。企業の広報施設を作る際に、こういった一見あまり本質に関係ないところにお金と手間をかけることが意外と重要で、そういった無駄とも思える演出が人を感動させる重要なファクターになることが多い。これは本来、空間設計や施工を請け負う設計事務所や工務店でない広告代理店が、あえてスペース開発する意味でもある。この仕事では幸いクライアントの理解が得られて、こういった演出に予算を割いてもらえた。 ~ 当時幼稚園児だった息子もお気に入りの施設であった。

もう開館当時の担当者もすっかりいなくなり、現場に知り合いもいない状況で一般観覧者にまじって特別開館に参加させてもらい、学芸員の展示解説に耳を傾けた。約一時間半の見学を終え、出口でアンケートを書く。「神戸らんぷミュージアムは開館すべきと思いますか?」こたえは「もちろん!待ってます!」

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