ペーター佐藤というイラストレーター
- 敦 大河内

- 2016年7月31日
- 読了時間: 2分

80年代は、広告やアートが活性化していた時代でもあった。高度なテクニックや個性を持ったイラストレーターが数多く輩出され、山口はるみをはじめとしたエアブラシを多用したスーパーリアリズムが一斉を風びしていた。
そんななかで同じエアブラシを使っても、とっても軽い絵を描く人がいた ~ ペーター佐藤。 他のスーパーリアリズムのイラストレーター達が、競って対象に肉薄し、いかにリアルに描くかに腐心していた時代にあって、彼のイラストには一種の軽やかさがあった。

ミスタードーナッツのパッケージなどでご覧になった方もいると思うが、パステルによるポートレートなどを描かせると、見事な絵を描く方で、そのパステルの感覚のままの軽やかな線と色使いがエアブラシで展開され、他のリアルイラストレーションがどんどん「重く」なっていく一方、彼のイラストレーションは、時代の気分ともあいまって、そのポジションを獲得していった様に思う。
活動の拠点をニューヨークに移し、一時帰国した時に開催された池袋パルコの絵画展で、画集にサインをしてもらった。描く絵とはうらはらに、角刈りのニコニコした気さくな方で、それがまた、妙な思い込みやこだわりを持たないプロっぽさを感じさせた。
彼の絵は、これ以降広告の世界を中心に、川崎徹、糸井重里、などによる本格的な「脱・構築」表現が始まる前夜の東京の気分を思い出させる。
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