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J-POP in the '80s ②;Come on ~ 小比類巻かほる

小比類巻かほる。

彼女には歌手ではなく、宗教家になってても通用しそうなカリスマ性があった。ステージを観ても冷静に考えるとクッさいセリフを連発しているのだが、不思議と乗せられてしまう。我が母校の学園祭で、空調も無い教室でぎゅうぎゅう詰めの観客を前にライトをばんばん焚いてライブをし、その様子がNHKのBSで中継された。ライブ終了後、彼女はぶっ倒れる。以降、伝説の「早稲田の酸欠ライブ」と言われた。

地元青森で、学生アマチュア時代から歌のうまさに定評があり、自分でも「ぜったい私には、スカウトが向こうからやってくる。」と確信し、就職せずに待っていたという。プリンスがプロデュースした只ひとりの日本人シンガー。 なんのてらいも疑いもなく、まっすぐに自分を信じる力。

この頃の彼女を観ると、世界一の経済力を誇った日本という国のピーク、自信満々な時代というものが思い出される。いつの間にか、世の中は「リスク、リスク」と言うようになり、周囲から「空気を読め」と言われる様になり、長い会議はするものの何も決められない、日本はそんな国になってしまった。国立競技場の問題にしても背景にはそうなってしまった日本という国の意思決定システムの欠陥が透けて見える。

日本は、自信から来る突き抜けた「ノリ」というものを忘れてしまったようだ。彼女の歌を聴きながら、そんな事を考えた。

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