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ART in the '80s あまり良い天気なので、少し立ち眩みがした。

80年代は、今とはちょっと違った意味でアートの時代でもあった。パルコが主催していた"日本グラフィック展"。その栄えある第一回・大賞に選ばれたのがこの絵。(ちなみにこのコンテスト、第三回の大賞受賞者はあの日比野克彦である。)

作者の伊東さんは、当時自分と同い年の武蔵野美大の学生だった。わたしもムサビを受けてうかってたので、場合によっては机を並べて勉強していたかもしれない人が大賞受賞したとのことで、「う~ん、才能あるヤツがいるな~。東京ってやっぱりスゴイな~。」と思った。

同じ服装、髪型、顔の女の子が無数に、画面一杯に展開している。さらに、その浮遊感が、不安と快感のない交ぜになったような感覚を呼び起こす。楽しそうでもあり、不気味でもある。でも、どっぷり使ってしまう様な不気味さでは無く、クールでもある。一見正反対に思える印象が矛盾することなく、1つの世界の中に収まっている。そこに、ある人はウォーホルの反復されたイメージを感じるかも知れないし、ある人は普通「不愉快」なものである立ちくらみにむしろ「快感」を覚えている作者に気がつくかもしれない。また、単純に一番手前の女の子の暗示的とも挑発的ともとれる表情とポーズに1970年前後のシュールで思わせぶりなイラストレーションを思い出すかも知れない。

当時ぼくは、状況と戯れる様な「軽さ」とキリコの「匿名性」の様なものを感じて、いたくこの絵が気に入り、卒業論文の表紙に使わせていただいた。伊東さん、すみません。

忘れられない一枚です。

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