ホキ美術館の画家たち③ ~ 野田 弘志
野田さんの作品を観たのも、奈良の美術館が最初でした。写真はその時の図録から。
その後、同じく日曜美術館で、その創作風景が紹介されました。野田さんは、北海道・洞爺湖を望む原生林の中にアトリエを構え、気力・体力を振り絞って創作に打ち込んでらっしゃいます。
これらの作品で観ると、北海道の静謐な空気まで表現されている様な「たたずまい」を感じます。
写実絵画は対象に肉迫することで写真には無い別の何かを獲得してるんじゃないか、と先週書きましたが、野田さんはその著書の中で「人間は二つの眼でものを視るからだ。」と書いてらっしゃいます。だから、写真にはない、立体的なたたずまいが表現できる。
意味をそぎ落とした「もの」や「ひと」の存在感が浮かび上がります。「空気まで映し出す」とは、このこと。
なお、ホキ美術館には野田さんが描いた「蒼天」という2m×4mの大作があります。有珠山の噴火を遠くからのぞんだ作品。膨大なエネルギーが注ぎ込まれてますが、それでいて静かな存在感。 すごいです。