サブカル in the '80s :東京大学「80年代地下文化論」講義 決定版
言われなくてもわかる人は分かると思うが、表紙が、佐藤チカ である。原宿・テクノポップを象徴するバンド PLASTICS の歌姫。本職の方は、有名なスタイリストだった。
80年代を東京で過ごせた自分はとても幸運だった、としみじみ思う。それまで世の中を覆っていたシラケた空気を突き抜けて、音楽、美術、文芸、ファッション、映画、演劇、あらゆる表現行為がどんどん「軽く」「豊穣に」なっていった。ミーハーなインテリの時代。
私が、建築という「重い」世界から、広告という「最も、軽い」世界に傾斜していったのも、この時代の気分と無縁ではなかった、と、最近改めて思う。
「80年代は、スカであった。」という言葉がある。
80年代は後半のバブルとセットにされて「後に建設的なものを何も残さなかった。」とか、「後の閉塞感に満ちみちた時代を生んだ。」とかと言う評価が一般的で、その「反省すべき時代」という見方からか、まじめに論じられて無いように思っていたところ、それを大真面目に論じてくれた本が出た。
演劇活動をずっとやってこられた、著者の宮沢章夫さんの東京大学での講義をまとめたものである。80年代を総括できてないから、ちゃんと、やらねば・・・という使命感から、この講義をまとめられたのだと思う。これを読むと、当時の時代の気分がまざまざとよみがえり、そのころいろいろ考えていたことを思い出した。そして、けっこう自分の中で、未だにケリがついていないことが多いことに気が付いた。
今年は自分にとって、これら「ケリのつけ方」がテーマになりそう。
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